聲の形

将也はクラスの中で楽しく気ままに過ごしていた。
そんな将也のクラスに転入生の女の子がやってくる。
その子の名前は西宮硝子。
先生から自己紹介するように言われた硝子だったが、何故か自己紹介を中々始めない・・。
先生は、硝子の肩をポンっと合図すると硝子はランドセルからノートを取り出す。
そして、ノートに書いてある文字で自己紹介を始めた。
そんな硝子の行動を見た生徒たちは、ザワザワし始める。
硝子はそんな中、自己紹介進め・・ノートで『耳が聞こえません』という文字を生徒たちに見せる。
生徒たちは驚いていた。
硝子は『ノートを通して皆と仲良くなりたい』と伝える。
そんな硝子と仲良くなるためにクラスの女子たちは硝子のノートに字を書く。
硝子は、みんなと仲良く小学校生活を過ごすことができて楽しい日々を送っていた。
ところが国語の授業内で植野が、棒読みで音読したことで先生に「もういい」と言われ、植野は威厳を損ねる。
植野の次に音読したのが、硝子だった。
耳の聞こえない硝子は、周りの子と同じように音頭しているつもりだったが、上手く言葉にできていなかったのだ。
そんな姿を見た植野は、自分よりもひどいのに先生は特に何も言わないことに腹を立てた。
その植野を見ていた将也は、ふざけて硝子の真似をして音読を始めた。
そこから硝子へのいじめが始まる・・。
硝子を避けたり、授業中に硝子の耳元で大声を上げたり補聴器を投げ捨てたりの悲惨ないじめであった。
硝子の補聴器が壊れたり、消失していたことを気にした硝子の母親は学校へいじめがあるのではないかとの連絡を入れる。
もちろん将也の行動が一番目立っていたこともあり、担任教師が将也のことを犯人として「立て」と怒鳴る。
担任は、将也の隣に座っていた植野に将也が取っていた行動を見てどう思ったかを聞く。
植野は、将也を裏切るかのように「ちょっとやりすぎだと思ってました」と答える。
他の生徒たちからも将也1人が悪いとの声があり、その日将也が帰宅した後に硝子の元に謝りに行くこととなった。
硝子の母親は、将也の母親が謝ってきたことで許したように見えた。
だが、将也の母親が将也の元に返ってきたとき、何故か母親の耳元から血が流れていた。
ピアスを耳から引きちぎられたように見えた。
数年後・・将也は高校生になった。
高校生になるまでの過程(中学生時代)で、将也はいじめにあった。
この時に、将也は他人をやったことは全て自分に返ってくるものだということを思い知った。
そのことから人の顔を見ることができなくなってしまった。
それからは、自分がどれだけのことをやってしまったのか、自分は生きてちゃダメな人間なんだと思うようになり、自殺まで考えるようになった。
自殺する前に母親に迷惑をかけた分、部屋の中のものほとんどを売ってお金にして母親の寝ている枕元に置いた。
川に飛び込んで自殺しようとしたところ、川付近で花火をしていた光景を見てとどまった。
クラスでは片隅に一人で過ごし、昼食も一人で過ごす。
そんな生活を過ごしていた。
ある日、小学生の時にいじめていた硝子と再会する。
将也を見た硝子は、一目散に逃げた。
将也は逃げた硝子に謝るため、必死で追いかけた。
将也は硝子に追いつき、できる限りの手話で会話しながら小学校の時に会話するためのノートを返した。
その将也を見た硝子は、手話を覚えていたことに驚き・感動で泣いてしまう。
将也は、硝子が泣いている理由がわからなかったこともあり、あたふたする。
それからの将也は、小学校の時からの罪悪感でか硝子の通う手話教室へ寄るようになった。
そんなある日、学校から自転車で帰宅するとき、将也のように一人で昼食を食べていた男子生徒がヤンキーに「自転車を貸してくれ」と言い攻められていた。
男子生徒が「誰か助けてー!!」と大声で助けを求めていたのを見た将也は、自分の「自転車を貸すよ」とその生徒を助けた。
貸したときはよかったものの・・結果的に貸した自転車は借りパクされたまま。
徒歩で帰宅するはめとなっていた。
将也は、帰宅途中に硝子が通っている手話教室に寄ろうと思っていたが、『これは立ち寄るべきではない』ということか・・と思った。
そんな将也の足元にひらりと『パンの割引券』が!!
硝子は、ほぼ毎日川にいる魚たちにパンを上げていた。
このことを口実に硝子の元へ寄ることにする将也。
パンを買って、硝子がいる手話教室へ向かうが、硝子の妹である西宮結弦が扉の前に立ちふさがる。
将也は、硝子が手話教室にいるかを聞くが、「硝子はいない」と言われる。
もちろん将也からは、教室の奥で硝子が座っているのを見て聞いているのだ。
結弦は、「過去に自分がやってきたことの罪悪感で硝子に会い、自己満足したいだけなら帰れ。」と将也に言い放つ。
それを言われた将也は、唖然と立ち尽くした。
硝子に買ったパンを食べながら徒歩で帰ることに・・。
そんな帰宅途中に学校で助けた男子生徒が、将也の自転車を押していた。
その男子生徒が将也の自転車を探しまわっていたのだ。
そこから将也と男子生徒の永束は、友達となって色んな場所に遊びに行ったりする仲になる。
永束は、将也のことを『やしょー』と呼ぶようになり、親友までの仲になった。
将也は、高校で初めての友達に戸惑いを感じながらも永束と一緒に過ごす内に、将也は一人でいることが少なくなっていった。
ある日、小学校の時に一緒だった植野に再会する。
植野の性格は、あの時から変わっておらず硝子のことを嫌っていた。
硝子の補聴器を奪った植野に対して、怒る将也。
そんな将也を見た植野は、将也に対して「ほんとダサくなったね」と言って硝子に補聴器を返し、その場を去った。
硝子は、将也に何の話をしていたかを聞いたが「なんでもない」と将也に言われる。
月日は経ち、夏休みに入って初めて将也は硝子や永束、植野たちと一緒に遊園地へ行った。
結弦も硝子の様子を見るために一緒に来ており、植野が硝子に馴れ馴れしいことに気づく。
将也も硝子と植野を2人にしておくことが心配だった。
そこで植野は、硝子に二人で観覧車に乗ろうと誘った。
その誘いに答えた硝子に結弦は、自分の「カメラを持っていて」と渡す。
特に問題は無さそうだったが、結弦が硝子に持たせたカメラで録画していたらしく、二人が何の話をしていたかを見ることに。
すると植野は、将也がいじめられた原因は硝子のせいだと・・硝子に言っていた。
その動画を見た結弦と将也は、ショックを受けていた。
夏休みは、硝子を誘って夏休みを過ごしていた。
硝子の母親の誕生日に、ケーキを一緒に作ったり花火大会へ西宮家の人たちと一緒したりと穏やかに過ごしていた。
その花火大会の途中で硝子は、家に帰ると言い出し、一人で帰宅した。
将也は、結弦に家にカメラを取りに行ってほしいと言われ、取りに行く。
だが、部屋の電気はついておらず・・よく見るとベランダの壁に立っている硝子を見つける。
将也は、慌てて硝子を助けようとベランダに走る!!
硝子は、ベランダから飛び降り自殺をしようとしていたのだ。
そんな硝子をギリギリ掴んだ将也は、自力で助けようとするも中々硝子を上に持ち上げることができず・・。
将也自身も転落しかけていた。
硝子は、ベランダのふちに掴み上った瞬間!!
将也がベランダから転落してしまったのだ。
救急車で運ばれた将也は、目を覚まさずに眠り続けていた。
硝子の母親もこの件については、将也の母親に頭を下げて謝っていた。
将也の状態を知った植野は、硝子に「あんたのせいで!!」と叩いていた。
そんな状況に駆け付けた硝子の母親は、植野ともめていた。
そこへ、将也の母親が駆け付け、二人を止める。
やがて、月日が経ち硝子は悪い夢を見て、いつも将也と会っていた川のほうへ走り出す。
なんとその夜、将也は目を覚ましたのだ!
目を覚ました将也も硝子と会っていた川のほうへ向かう。
川のとこについた将也は、硝子と出会う。
将也は、硝子に小学校の時に自分がやったことを謝った。
すると硝子も将也に自分のせいでこんなことになってしまったことを謝っていた。
将也と硝子は、将也の学校でやっている文化祭に行く。
久しぶりの永束たちに会っても、人の顔を見ると吐き気が止まらなくなり、トイレで休んでいた。
そんな将也を心配した永束は、将也に「もう遠くに行かないでくれ!!」と泣きながら抱き着いていた。
それからクラスの1部の人たちとも再会したのだが、その人たちの顔も見ることができずにいた。
その生徒たちは、クラス全員で将也が目を覚ます祈りとして、千羽鶴を作ろうとしていた途中段階のものを将也に渡した。
植野も来ており、硝子に手話で以前のことを謝っていた。
植野の手話を見た硝子は、嬉しくてたまらなかったのでしょう。
植野とも仲良くなり、将也も今まで人の顔を見ずにいたのをやめてしっかりと見るようになれた。
やっと今までの呪縛を解くことができ、楽しい学生生活を迎えることができるようになった。