一度死んでみた

小さい頃から父親は、実験室に引きこもって家に帰ってくるのが遅かった。
たまにの休日に家族みんなで揃ってピクニックに出かけた時も、非科学的なことがあればすぐに「ありえない」と否定してくるような父親だった。
そんなある日、母親が交通事故にあい、病院に救急搬送された。
七瀬は急いで病院に駆けつけ、父親が駆けつけるのを待っていた。
だが、父親は研究室にこもりっぱなしでロミオの研究(若返り薬)を開発していた。
そのまま母親は、この世を旅立ってしまった‥。
その日を境に七瀬は父親の嫌がることをするようになり、ずっと反抗するようになった。
髪をピンクに染め、『魂ズ』というロックバンドを組み、中華でバイトをしていた。
家の中を線で区切るほど父親を軽蔑していた。
七瀬は毎日父親の似顔絵が貼られた自前のサンドバックに向かって「死んでしまえ!」と言い、サンドバックを殴っていた。
七瀬の父親は、ずっと務めてきた製薬会社の社長となり、ロミオの実験を続けていた。
ロミオの実験をしている最中に偶然できた2日間死ねる薬(ジュリエット)。
ジュリエットを飲んでみるよう言われた父は、取り扱い説明書をちゃんと読まずに七瀬に2日間死んでくることも言わないままジュリエットを飲んだ‥。
ここから父の死を本当の死にすり替えようとするワトソン会社。
研究ノートを盗もうとするワトソン会社の黒幕が動き出し、七瀬たちと七瀬の監視係がワトソンの悪行を防ごうと作戦を立てる。
何とかして父がジュリエットを飲んだ2日後の14:02まで火葬するのを防ぎ通さないといけない。
ワトソン会社のスパイもどこいいるかわからない状態で、告別式をできる会場の抑えや棺を用意することに。
ワトソン会社も告別式を実施できないように葬儀屋の予約と棺をポチって買い占め作戦を決行していた。
ギリギリのところで告別式の準備が整い、クリスマスの日に告別式を開催することができた。
だが、あと少しのことろで告別式を終わらせられ、火葬場までそそくさと父親の入った棺を搬送されてしまう。
七瀬と七瀬の監視係が父の搬送される火葬場まであとを追う。
七瀬が火葬場に到着したころには、父が入った棺は、すでに火の中に‥。
もうだめだ。。と諦めたかけた瞬間。
火葬している中から物音が聞こえてきたのだ。
火葬場に集まってきた、メディアや関係者が火葬の入り口に集まり、火葬の扉があく瞬間を見ていた。
すると!目を覚ました父が火葬の中から宇宙服(告別式の贈り物)を着た状態で登場したのだ。
七瀬の中で、父が一度死んで気づいたことがあった。
それは、『思っていることは口に出さないと相手に伝わらないこと。』だった。
父の2日間の死の出来事から父と七瀬は和解し、七瀬は、得意な化学を生かせる父の会社に入社した。